
とびらの先にひろがっていたのは、
うさぎたちだけがすむ
ひみつのせかい。
おひさまでぽかぽかしている
やわらかなそうげんの丘に、
小さなおうちが
ぽつぽつと、ならんでいます。

にんじんが、ない!
うさぎのニト デジタル絵本

その村の いっかくに、
「ニト」という アンゴラうさぎが
すんでいました。
じまんの ふわふわな白い毛を
かぜになびかせながら、
まいにち
たのしみに しているのは―

1日 がんばった ごほうび の
だいだい色の にんじん!
「今日も にんじんが おいしいなぁ♪」

ある日、おやつの時間に
にんじんのふくろ を のぞいてみると ―
あれれ、からっぽ!
「あれ…? にんじんが、ない!」

ニトははじめて、
じぶんでにんじんをさがしに
森へぼうけんに行きました。

でも、地面をさがしても
にんじんはみつかりませんでした。

木の上をさがしても、
にんじんはみつかりませんでした。

「どうしてにんじん、ないの?」
あきらめかけていた
その時―

友だちの みぃあ が
とおりかかりました。
「にとくん。
そんなかおして、どうしたの?」
「あのね。どこをさがしても、
にんじんがないんだ」

みぃあは やさしく言いました。
「にとくん。にんじんはね、
木にもなければ、
じめんの上に
ころがってもないんだ。」
「だけど、
森のそこら中にあるんだよ。
ほら、きみの目の前にも。」

「にんじん、あった!」
ニトは、おおよろこび。
「だいだい色のにんじんは、
はっぱの下にあるんだよ」
そう。
にんじんは、
土の下にかくれているんだね。

みぃあはつづけてニトに言いました。
「ニトくん。
にんじんは、はっぱの方が、
いっぱいえいようあるんだよ」
「みぃあ は、
ものしりで すごいや!」

ふたりは 村へかえり、
みんなで
仲よくにんじんをわけあいました。
これからは
はっぱも たくさん食べようね。
はじめての物語。
この絵本のイラストは、
うさぎのニトへの愛を込め
AIイラストとPhotoshopの編集で創りました。
キャラクターの見た目の固定化が
どうしてもできず
違和感があると思いますが、
作品のかけらとして残します。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
🔻もうひとつのパターンの扉

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