ひみつの(?) 絵本「ニトの物語」を読んでくださった方へ。
このブログは、その舞台裏を記録したものです。
主役のニトは、我が家で溺愛している、白くてふわふわなアンゴラうさぎ。
この子をAIで描き、物語にしていく過程には、想像以上の発見と困難の連続。
ここでは、制作の裏側や使ったツール、そして自分なりの気づきや工夫を綴っていきます。
最初は、物語の世界を「形にしよう!」と思ったあの日から。
MidJourneyとの出会いと導入
AIでイラストを生成するサービスはすでに数多くあります。
その中でもまず最初に選んだのが、世界中でも人気で王道と言われる「MidJourney」。
操作にはDiscordというチャットツールを使います。
一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、慣れればとても快適で、
自分専用のサーバーをつくって、気兼ねなく画像生成を試せるのが魅力です。
プラン比較と選び方
MidJourneyにはいくつかの料金プランがあります(2025年4月時点)。
プラン名 | 月額料金 | 同時実行数 | 高速生成回数 | 非公開設定 |
---|---|---|---|---|
Basic | $10 | 1 job | 約3時間分/月 | ❌ 公開される |
Standard | $30 | 3 jobs | 約15時間分/月 | ❌ 公開される |
Pro | $60 | 12 jobs | 時間制限なし | ✅ 非公開可 |
無料おためしプランなどは現時点でなく、最初から課金が必要ですが、その価値は十二分にあります。
まずは一番安い「Basic(旧Starter)」で十分!
ただし、生成した画像やプロンプトは公開ギャラリーに表示されてしまい、
誰でも見ることができるため、完全非公開で使いたい場合はProプランを選ぶ必要があります。
まるで魔法のような時間!想像を言葉にするだけで…
MidJourneyでは、描きたいイメージを英語の文章として入力します。
ただ英訳するのではなく、「自分の頭の中にある世界」をいかに伝えるかがポイントです。
たとえば、私が最初に出したプロンプトの一つがこちら:
A peaceful forest clearing with soft sunlight, fields of clover, a cozy tree burrow, and gentle magical rabbits with long ears hopping around, watercolor illustration…(以下略)
この言葉に込めたイメージの日本語版は、こんな感じです:
やさしい光に包まれた、大きな古い木のある平和な森。
幹の中心には休憩所のようなスペースがあり、小さな窓がついている。
苔や花に囲まれた森の中、3匹のうさぎが静かに過ごしている。
耳を手入れする子。赤ちゃんをなめてあげるお母さん。
そして、クローバーの花冠をかぶった子。
水彩画のような柔らかいタッチ。静かで、あたたかくて、やさしい空気。

こうしたイメージを何度も繰り返しながら、
自分が求めている世界観のアウトプットは何なのか?を模索していきます。


わたしの場合、それが物語サイトのトップページのイメージにつながっていきました。

ニトがイラストで描かれた瞬間の感動
物語の舞台となる世界観が、少しずつ形になりはじめたので、
いよいよ、主役となるうさぎ――ニトを描くフェーズに入りました。
目指すのは、こんなイメージ。
プロンプトには、こう記述しました:
白くて、ふわふわなアンゴラうさぎ。耳の先だけグレーで、まるく優しいフォルム。
小さなにんじんポーチを身につけ、絵本の世界のような光に包まれて立っている。
背景は、木漏れ日が差す魔法の森。
物語の中心にいる「ニト」という存在を、柔らかい水彩画タッチで描きたい――
はじめは、なんか違う…という画像が何度も出てきました。




が、諦めずに何度も調整しつづけた結果、
――まさに、イメージしていた通りの子が出てきました。

想像の世界の「ニト」が、画面の中に現れた瞬間。
その姿を見たとき、驚きと感動がいっきに押し寄せました。
これだ――!
柔らかく、光に包まれた森の中で、やさしく微笑むニト。
このまま絵本に使えそうなカットも、いくつも出てきました。
※ 結局、この後課題に直面し、この画像は使えなかったのですが (涙)
でも、“同じ子”には出会えなかった
しかし、その感動のすぐ後、ある課題に直面します。
「このニトで、表情だけ変えてみたい」
「同じ耳、同じポーチのままで、座っている姿も見てみたい」
そう思ってプロンプトを微調整したり、「V」ボタンでバリエーションを出してみたり。
けれど、出てくるのはどれも――「別の子」でした。
MidJourneyでは、画像をアップスケールしたり、似た雰囲気の新しいバージョンを出すことはできます。
けれど、キャラクターとしての再現性はとても低いのです。
同じ子が、別のページにも、別の表情でも、ちゃんと登場する。
絵本という“連続性のある世界”を描くには、それができなければ成立しないと気づきました。
キャラクターを固定化するという課題
たった1枚なら、素敵な絵で終われるかもしれません。
でも、ニトには「物語を生きてもらう」必要があります。
何枚重ねても、「あ、ニトだ」とわかる一貫性。
それこそが、絵本の登場キャラに求められるもの。
そのためには、MidJourneyだけでは限界がある。
そう感じた私は、次の選択肢を探しはじめます。